
明るく透明感のあるカラーリングやビビットな原色の髪色、いわゆる外国人風のテイストに憧れる人は多いかと思います。
巷では若い女の子などを中心にInstagramなどSNSの影響を受けて、そのように周りの人と比べて少し差を付けられるようなカラーリングをオーダーする方が多いです。
多くの美容師は【そのような透け感のある色味にしたいのであれば、ブリーチが必須だ】と説明する事がほとんどだと思いますが
ブリーチと言うとお客様にとっては【ブリーチしなきゃできないのかぁ…じゃあ無理かなぁ】と断念してしまう人が多いのが現状です。
その理由として、ブリーチは【髪が猛烈に傷む】とか【金髪にする工程を経なければいけないのが嫌】というためらいがあるそうですが
それ以外にも
ブリーチは頭皮に負担が強いため、将来的に髪の毛がハゲてしまうというイメージを持っていて施術を諦める人も多いようです。
これに対して現役美容師の私から一言、言わせてください。
ハゲません。その点は安心してブリーチしてください。
髪や頭皮への負担もそのブリーチ施術の仕方によっても差は出ますが、しかしそれによってハゲてしまうなんて事は一切ありません!
その理由を今日は詳しく解説していきます。
ハゲない理由

なぜ、ハゲる心配をしなくていいのかというと
これはブリーチだけでなく他のカラー剤にも全般的に言える事ですが
カラーリングの薬液は毛髪を生成している毛乳頭にまで浸透していません。
もしもカラー剤が毛乳頭にまで浸透して人間の髪の毛の一生に関わるヘアサイクルを妨害してハゲてしまうようなものなら
美容院のヘアカラーのメニュー自体に危険性が問題視されて世の中で髪を染める人なんていなくなるでしょう。
例えばですが、白髪染めをしているおばちゃんなんかは染まり具合の関係上、頭皮にベッタリカラー剤を塗布していますよ?それでも2ヶ月に一回、早い人なら毎月何の問題も無く来店されています。
白髪染めもブリーチ剤も濃度や内容成分は違いますが、同じアルカリというアンモニアを使用している事は確かです。
あなたの身の回りでカラーリングをしてハゲたなんて人がいますか?
おそらくいないと思います。
私も11年間美容師をやってきて【そちらの美容院でブリーチやカラーをするようになってから髪の一部がハゲた!どうしてくれるんだ!】というようなクレームをもらった事は一度もありません。
ネット上では【市販のヘアカラー剤を使ってセルフで髪を染めると毛穴が詰まりそこから毛が生えてこなくなる】という謎の理論を語る美容師もいますが、それは100%嘘なのでご安心ください。
もしもそんな事があろうものなら、美容業界の市場はとっくに崩壊しています。
ブリーチも通常のヘアカラーもハゲる原因になるという事は何の根拠も無い嘘です。
何が問題なのか?
これまでブリーチカラーがハゲる原因になるという事ははっきりと否定させて頂きましたが
【他には何の問題も無いのか?】というとそうゆうわけではありません。
ブリーチに関しては普通のカラーと比べて特にハゲ以外にもリスクがあります。
かぶれや炎症を起こす恐れがある。

一番多いのはやはりこれでしょう。通常のヘアカラーはブリーチに比べてアルカリ量は少ないが染料の一種であるジアミンという成分を含んでいるので人によってアレルギー反応を引き起こし、かぶれの原因となります。
一方でブリーチは色素を脱色するのが目的で作られたものであるため、染料は入っていない。つまりジアミンが含まれていないのでかぶれを起こす事は少ないが、代わりに過硫酸Naという髪の色素を抜くために必須な強力なアルカリ剤が含まれているため、頭皮が敏感な人にとっては施術中、【すごくヒリヒリする】とか【焼かれるように熱い】というような症状が出ます。
美容院でブリーチを初めて施術してもらう人にとっては頭皮がものすごく痛かったとしても【それを担当者に告げると途中で終わらせられてしまうかもしれない】と考え、無理矢理我慢する人もいるようですが
頭皮が痛い事は正直に申し出ましょう。そのまま我慢し続けると後々どんな恐ろしいトラブルに発展するかわかりません。
自分が敏感肌でカラー剤などが染みやすい事がわかっているのであれば【なるべく地肌に付かないように塗ってください】とお願いするのも一つの手でしょう。
断毛するリスクがある

髪が傷みすぎて切れてしまう。
ブリーチに関して一番多いトラブルは頭皮以外だとこれです。
この断毛というトラブルですが、同一箇所に3回以上のブリーチを繰り返す事で髪の毛の中のペプチド結合という髪の生命に関わる重要な組織が段々と弱っていき、これが崩壊すると髪の毛が切れてしまいます。
通常のヘアカラーでは断毛する程髪の毛が傷むという事は中々ありえませんが、ブリーチの主成分である過硫酸Naが髪に与えるダメージはとても強烈で、美容院の施術の中でも最も傷むと言われております。
私は過去に縮毛矯正による熱変性を起こした髪にブリーチを20回くらい繰り返したというとてつもない経歴の髪の毛の女性を美容院で見た事がありますが
単純に【傷んでいる】という言葉で片付けていいのかわからないくらいに恐ろしく傷んでいました。
その傷み具合をざっくりと説明すると
- 軽く手ぐしを通しただけで髪の毛が何本もブチブチとちぎれてしまう。
- シャンプーをしても髪の毛はちぎれてしまうので排水溝に毛がたくさん流れて詰まってしまう。
- ドライヤーの風圧でも髪の毛がちぎれて吹っ飛んでしまう。
こんな感じです。
かなりヤバいでしょう。
その女性、元々髪の長さは胸くらいのロングだったそうですがブリーチのダメージにより断毛が積み重なり、頭頂部の毛に関してはメンズのショートヘア並に短くなってしまっているのでエクステを付けて長さを擬似的に出さなければ髪型として成立しない状態です。
ブリーチは過剰に繰り返し施術してしまうと取り返しのつかないくらい髪の毛が傷むという事を常に頭の片隅に入れておいた方がいいでしょう。
まとめ

ブリーチがハゲる原因になるというのは全くの嘘ですが
その他に頭皮の炎症や髪の毛の断毛というリスクがあるのも事実です。
自分はどちらかというと敏感肌でシャンプーなどのヘアケア用品やファンデーションなどの化粧品も物によっては体質に合わないという事があれば、施術をしてもらう前にちゃんと担当の美容師に申告しましょう。
それによって【できるだけ頭皮に薬剤が付着しないようにする】とか【頭皮を保護するためのジェルクリームを塗布してくれる】といった配慮があるはずです。
それでもブリーチの途中でヒリヒリして痛くなってきた場合には
それもちゃんと申告する事によって
美容師側がこれ以上お客様に負担が掛からないようにそれに見合った何かしらの対応をしてくれるはずです。
カラーリング施術中は無理に我慢して後々大きなトラブルに発展してしまう事が無いように異変を感じたらすぐに申し出ましょう。
おしまい⭐︎