
美容師アシスタントはサロンの先輩から営業中も営業以外でも技術や接客の指導を受けて日々成長し、やがてスタイリストとなる。
会社から給料をもらいつつ自分を育ててもらっているため、頭を下げて素直に教えを請う事は当然なのだが
教える側も部下に必要以上の事を強要するのはパワハラだと私は思う。
実際、それが苦になって美容師そのものを辞めてしまう人はたくさんいる。
非常にもったいないし、残念で仕方ない。
そんな事にも気付かず、部下を日頃から精神的に傷つけている奴は正直言って許せない。
私が今まで見てきた中でパワハラだと思う上司の行動は数え切れないほど見てきたが
その中でも【これはおかしいだろ】と思ったものを3つピックアップしてみた。
この記事を読んでくれているアシスタントの若い子はきっと共感してくれるだろうし、上の立場に立つ人間も【まさに自分は同じ事を部下に強要してしまっている】と思っているのであれば考えを改め直してもらいたい。
どんな事がパワハラに該当するのか?
日常での教育指導と称した暴言や陰湿ないじめなどは論外だしここで取り上げるまでも無いので割愛させて頂くが
その他にも上の立場の視点から見て本人には自覚が無いパワハラも世間では問題視されている。
私はその中でも以下の三つを代表例として挙げてみた。
酒が飲めない部下に無理矢理飲ませる

飲み会というと一見楽しそうに聞こえるが
アシスタントにとっては決して楽しいものではない。
上司にお酌をしたり取り皿に食べ物を分けとってやったりと常に気を使わなければならない。苦痛の時間だ。
目の前に美味しそうな料理を出されたとしても
好き放題食べたりしていたらバチバチに怒られるため中々手を付ける事ができない。
ご飯を食べる場所に来ているのに料理が食べれないという謎の光景であるが
それなのに、なぜか酒だけはガンガン飲ませようとしてくる上司は必ず存在する。
酒が強くて大好きな子なら問題無いとは思うが、体質的に飲めない子だってたくさんいるのに【先輩の権力】を行使して酒が弱くて飲めない人に無理矢理飲ませる行為は完全にパワハラだ。これは世間一般では実際に【アルコールハラスメント】という言葉として存在している。
私も昔から非常に酒が弱いのだが、新人歓迎会で飲めもしない日本酒を無理矢理何杯も飲まされ、帰り道の路上で吐いて倒れてしまうくらいに潰され翌日は二日酔いになった。
そしてその翌日の営業でも気持ち悪くて中々思うように動けずにうなだれていたりすると
【やる気ねぇなら帰れよ、休んでんじゃねー】というふうに罵声を浴びせられた。
飲めない部下に無理矢理酒を飲ませて潰し、その上暴言を吐くなど非常に理不尽な行為だと思ったのだが
私以外にも別の飲み会では同期が散々飲まされ潰されてしまいトイレで倒れて寝ていたり
急性アルコール中毒になって救急車で運ばれている人間もいた。
なぜ、このような愚かな行為を強要するのかは謎だが
私は部下に強制的に飲酒をさせる行為は目上の立場という権力を不正に行使した立派なパワハラだと思っている。
自分が酒をそんなに好かないというのもあるが、私は部下に飲めよと煽った事は一度も無い。
お酒は自分のペースで自由に呑むべきものだ。人に強要するべき事では無い。
大勢の前で一発芸をさせる

これを強要する会社は非常に多い。普段の飲み会というよりは新人歓迎会などで自己紹介を兼ねて大勢の見てる前で芸を披露させる行為だ。
私は新人社員にこうゆう事をさせて何が面白いのかはよくわからないが
やらされている側は誰一人として乗り気な人間なんていない。
普通に考えておかしい。美容師として働くためにサロンに就職しているのに当日までに芸を仕込んでおけと命令するなんて本人達からしたら【ふざけるな】という気持ちになるのは当たり前だ。
とりあえず嫌がらせである事には変わりないだろう。
新卒として入社したばかりの子達は立場的には一番下。反論する事もできずにやらざるを得ない。ただ、羞恥心と精神的な苦痛を与えられるだけだ。
私も新卒社員として最初に入社した会社の全店舗で行う大規模な飲み会では一発芸を強要された。すごく嫌だったのを鮮明に覚えている。
当然困惑してしまい、なぜそんな事をする必要があるのか直接上司に尋ねたが
【美容師たる者それくらいの事ができないでどうする】と意味不明の精神論でねじ伏せられただけだ。
美容師になって12年目を迎える私だが、新卒生に一発芸を強要する意味は絶対に無いと心の底から思っている。
店販を自腹買い取りさせる

アパレル業界などによく聞く自腹買い取りのパワハラ。
目標売り上げに達しなかった分の売り上げ金額を従業員に強制的に補わせる悪質な行為だ。
超絶ブラック企業の有名なやり口で世間一般では【自爆営業】と呼ばれるが、これは美容業界でも同じように存在する。
どちらかというと個人経営とか小中規模のサロンよりも全国に店舗を構えるような大型サロンによく聞く話だ。
私がかつてそのような大手の会社に勤めていた事があり
そこでは自社の利益のためにシャンプーやトリートメントなどの店販の押し売りを非常に強く推奨していて、各店舗ごとに目標売り上げ金額に達成しなかった場合
本部の管理職という立場に立つ人間が店販売り上げの低い店舗のスタッフに圧力をかけて自腹買取をさせる行為を毎月のように行っていた。
その対象となるのは大体店舗責任者である人間なのだが、毎月5万円分ほど自腹買取させる事なんてザラ。
当然これはパワハラに該当するとは思うが、見方は変えれば恐喝に近い行為ではないのかと私は思う。権力を利用し圧力をかけてお金を出させているのだから。
とにかく、正気の沙汰ではない。
まとめ
私が実際に見てきた美容師アシスタントへのパワハラ行為とは?
- 酒が飲めない部下に無理矢理飲ませて泥酔させ、潰れさせる。
- 大勢の見てる前で一発芸を強要し恥ずかしい思いをさせる。
- 店販の売り上げが低いからと言って自腹買い取りを強要する。
いかがでしたか?
他にもよくあるパワハラ行為は話そうと思えば永遠と出てくる。残業手当無しで休日出勤させたりとか女性の部下にセクハラをしたりとか、美容業界のパワハラは本当にキリが無いくらいたくさんある。
今日この記事を読んでくれていたのがアシスタントの子なら、どうしてもパワハラが辛くて仕事に行くのが嫌になってしまっているなら遠慮なく辞めてしまって良いと思う。パワハラが苦でサロンを辞めるのは正当な理由だ。あなたが活躍できる場は他にいくらでもある。
サロンの責任者や管理職に立つ人でこの記事を読んでくれていて
自分の働く店が少しでも【今回の内容に当てはまる】と思ったのであれば、すぐに改善してもらいたい。美容業界は慢性的な人手不足だ。新しい人材を募集したところでそんなすぐに人が集まってくるようなものでも無いのは十分わかっているはず。若い芽を自ら潰すような事は絶対にやめてほしい。
最後まで話を聞いてくれて、ありがとうございます。
終わり。