
美容学生の子なんかは就職活動で青山や原宿、代官山などの人気エリアのサロンを片っ端から面接に行き、落ちてしまった後に新宿や池袋を次の候補として視野に入れる人が多いのではないかと思う。
現役美容師の方でもきっとそれは同じだろう。
【自分には原宿青山はちょっと無理があるかなぁ】と思って、次の候補を新宿や池袋のサロンに定める。
ちなみに私もそうだった。一度表参道の某高級サロンから中途採用で内定をもらったのだが、ある事がきっかけで自信を無くしてしまい諦めて、池袋と新宿に店舗を構えるそれなりの高単価なサロンに中途採用のスタイリストとして入社した。そこで約半年だけ働いていてわかったのだが
新宿池袋エリアでは不器用で要領の悪い美容師は必要とされない。
私はモロにそのタイプだったため会社から必要とされていない感覚がすごくあって居場所が無く精神的に耐えきれず辞めざるを得なかった。
今日はアシスタントの人に主に焦点を当てて話をしていきますが
美容師になってスタイリストに上がるのは不器用な人でもなれる。器用で要領の良い人よりも圧倒的な練習量でカバーすればいいのだから。詳しくは下記のリンクにも書いてあるので良かったら読んでもらいたい。
ただ、それをやるにあたって新宿池袋エリアはおすすめしない。
その理由を詳しく話していきたいと思います。
なぜ新宿や池袋エリアは良くないのか?
別に原宿青山のサロンじゃなくてもオシャレで高級な店はいっぱいある。
技術や接客の質がめちゃめちゃ高い店だって多い。
しかし、以下の3つの理由で要領が悪くて不器用な人間にはおすすめできない。
人の入れ替わりが激しくスタイリストが寄せ集め。

新宿や池袋というのはレジャー施設やオフィス、デパートが建ち並び色々な人が行き交う街だが、
これはなんと美容師にも共通している。
このエリアは様々な美容師が行き交う本当に入れ替わりの激しい地域だ。
アシスタントの子には特にこのエリアはオススメしない。
なぜなら
新宿池袋エリアのスタイリストはそのお店で1から学んでデビューしたという人間が少なく、元々はよそのサロンで働いていてスタイリストとして中途入社した人間ばかりだからだ。
私が働いていた池袋のサロンなんか特にその典型だった。元々は青山原宿の激戦区エリアでスタイリストをやっていたが、そこであまり売り上げが立てられずに困り果てて救いを求めるかのように流れ込んできた奴が非常に多い。
色々なサロンで働いていた結果、売れっ子になれなかったスタイリストの寄せ集めというわけだ。
そこに何の問題があるのかと言うと
技術指導の際、適当になりやすいという事。
他所からの寄せ集めスタイリストが多いという事はその店でスタイリストになるための技術カリキュラムをクリアしてきている人間が少ない。
それはつまり自分はやった事ないけど今までの知識と経験を元に【こんな感じだよ】と、感覚で教えているという事だ。
技術を指導する人間がそんな奴らばかりだったら教え方だって人それぞれで差が出まくるしバラバラになり統一性が無くなる。適当に教える奴だって同然出てくる。
元から器用で要領の良い子はそれでも上手く教わった事を吸収して効率よくやるだろうけど
その逆の不器用で要領が悪い子は確実に混乱してしまうし育ちにくい。
結果的にいつまで経ってもスタイリストになるためのカリキュラムをクリアする事ができずに居場所が無くなり辞めてしまう子が多い。私のかつての部下が現にそうゆう子がたくさんいた。
中途スタイリストも同じだ。よそのサロンで売れなくてそこへ入社している。とりあえずある程度キャリアがある分技術的には問題無いとみなされ働いてみるが、以前と同じようにまたここでも売れなくて終わる可能性が高い。
そうなると不器用で要領の悪い、もしくは何かに落ち度がある中途スタイリストは居場所が無くなり居づらくなって辞めてしまうだろう。
このように人が激しく行き交う新宿池袋の街では美容院で働く美容師もコロコロ入れ替わってしまう環境であるため、私はおすすめしたいと思わない。
営業時間が長い店が多い。

池袋新宿エリアは歓楽街でもあり近隣のオフィスで遅くまで仕事している人もたくさんいるため、それを考えて営業時間を長めに設定している店が多い。
日によって多少変えている店もあるが、大体10:00〜22:00が相場だ。
この12時間の営業時間の中で早番や遅番などに時間が分けられるため、肩書上は定時の8時間程の勤務で済む。
しかし、これは本当に肩書だけだ。アシスタントの子はこの早番や遅番以外の時間を自分の練習時間に当てなければいけない。
早番なら自分の勤務時間が終わった後に店内の一部をパーテーションで区切って小さいスペースを作ったりしてみんなが働いてる中で1人コソコソと練習しなければいけない。
遅番なら自分の出勤時間より早く店に到着して同様の事をやる。
これではせっかく早番や遅番のシステムがあったとしても結局店に滞在している時間が長いため、長時間の労働をしているのとあまり変わらない。
毎日の練習を隙間時間にコソコソと1人寂しく行っていては絶対にモチベーションが上がらないし練習過程を見てくれる人間もいない。そして前述したように技術の指導をする人間もみんな中途採用で入ってきたスタイリストであるため教え方もバラバラで適当になりやすい。
これは不器用で要領の悪い子にとっては非常に効率の悪い練習方法だ。
これなら商店街にある地域密着型のサロンのようにみんな同じ時間に出勤して同じ時間に帰宅する店の方が遥かに効率良く練習できるし、体力的にも働きやすいだろう。
情が無く、冷たい。

私が一番最初に入社した店は埼玉県の駅から徒歩20分以上離れたちょっと田舎の地域密着型のサロンだったが、そこで働くスタッフはみんな店からチャリで通えるくらいの近距離に住んでいて地元感が強い。
スタッフ同士家が近くて親近感があったのだが、そのせいかなんとなく情に熱くて仲が良かった。
私は特に上司と家が近かったのもあって仕事帰りによくラーメンを奢ってもらったりと可愛がってもらえたのだ。
お互い終電の必要もなかったので、私が仕事に関して悩みを持っている時には時計の針が0時を回っても居酒屋で延々と相談に乗ってくれたりと親身に接してくれたのだが
都心のエリアで働くようになってからはそうゆうのは一切無くなった。
前述したように土地柄営業時間が長いというのもそうだが、地域密着型のサロンに勤めている人達と比べると、何だか冷たい。
私はその点に関して最初かなり違和感があったので、その店の上司に尋ねてみた。
私『ここの店の人たちって、営業後にあまりみんなでご飯とか行かないですよね?』
上司『そうだねぇ。まぁ、みんな家の近くから通ってるわけでもないし、あんまり親身に接しても辞めちゃう人多いから意味無いんだよね。だから仕事中以外ではあまり関わらないようにしてるかな。』
私『はぁ、そうなんですね…』
これは実際にあった私と上司との会話のやり取りだが
新宿池袋エリアは離職率が高いという事が上の立場の人間から見てもわかっているため、スタッフ同士あまり親密に接しない方が良いという風潮が出来上がっているのだ。
【日頃から可愛がっていたとしても土地柄人がコロコロ入れ替わってしまうため、それまでの付き合いが無駄になってしまう】
この暗黙の了解みたいなものがあるせいで、そこで働くスタッフ同士が非常に冷たい。仲が悪くなりやすい。そんなんだから新卒生の子が入社してきてもすぐ辞めてしまう確率が上がる。まさに負のスパイラルだ。
それでも器用で要領の良い子はそんな環境でもサクサクと仕事を覚え技術カリキュラムもクリアしてスタイリストになるのも早いのだろうが、その逆のタイプの子はそんな環境では無理だ。愛情を持って接してあげられるような環境じゃなければとてもじゃないが育たないと思う。
そして、もう一つ
新宿池袋エリアは土地柄ビルが多いため、美容院も必然的に雑居ビルの中に入っている事が多い。構造上店内も狭くなりやすいため、スタッフルームは最小限に収縮されている。座って休憩できるスペースすら確保してくれないところもザラにある。
私が働いていた店はスタッフの休憩は1日30分のみ。吹きっさらしの非常階段で休憩する事を余儀なくされていた。なので、雨が降った時にはそこは水浸しになってしまうので、休憩時間もろくに座る事ができない。立ったままご飯を食べたりしていたので全然休憩した気にならない。
人権が守られているとは言い難い環境だった。
それでも、あなたは新宿池袋エリアのサロンで働きたいと思いますか?
まとめ
不器用で要領の悪い人に新宿池袋エリアの美容院を勧めない理由とは?
- とにかく人の入れ替わりが激しいためスタイリストも寄せ集めになりやすい。技術の指導に関してもみんなバラバラで適当になりやすい。
- 営業時間が長くアシスタントは早番遅番の前後に1人でコソコソと練習するしかないため、効率が悪い上、疲労しやすい。
- 色々な人が行き交う土地柄で離職率が高い事が明らかになっているため、スタッフ同士が非常に冷たく、情に欠ける。
いかがでしたか?
結局はどこのサロンに入っても自分次第ではあるのだが、とにかく新宿池袋エリアは土地柄そうゆう環境だ。
人がみんな温かくて笑いの絶えないような店は少ないだろう。
今時どこのサロンでも技術のレベルなんて大して変わらない。ましてや相手は素人のお客様だ。よほど下手くそでもなければ、プロ目線での技術の差になんてそうそう気付くものではない。
見た目の華やかさだけで繁華街のサロンにこだわる必要はないだろう。