
ヘアアイロンというものはストレートタイプもカールタイプも基本的には髪が乾いた状態で使うべきものですが
どこからともなく来た変な噂だけが一人歩きをし始め
【濡れた髪にヘアアイロンを当てると巻きがつきやすくなりストレートも伸びやすくなる】というおバカな情報をちらほら耳にします。
これはストレートアイロンでもカールアイロンでも両方に共通して言える事ですが
いずれにしろ大間違いです。
今日は現役美容師の私が
【なぜ髪の毛が濡れた状態のままヘアアイロンを当ててはいけないのか】
【濡れた髪にヘアアイロンを当てると良い説の真相】
この2つを詳しく説明していきたいと思います。
髪が濡れた状態でアイロンを当てると、何が起きるのか?

例えばカールアイロンの温度をそれなりに巻ける温度(160〜180℃くらい)に設定して湿った髪、もしくは濡れた髪に当てると事で何が起きるかというと
毛髪内部では【水蒸気爆発】というとても大変な事件が起きてしまいます。
科学用語では水が高温の物質と接触することにより発生する爆発現象の事だが
髪の毛にも水気を帯びた状態で高熱アイロンに触れると水分が一気に蒸発し、同様に爆発現象が起こります。
こうなると毛髪内部では一体どうなってしまうかというと
- 髪の毛を健やかに保つための間充物質の流出
- キューティクルの剥離
- 天然保湿因子の減少
といった悪影響を及ぼす。
要するに
- 切れ毛や枝毛が増加
- 指通りが悪くなる
- 乾燥しパサつきやすくなる
という髪の毛にとって最悪な事ばかりが起きてしまうというわけですが
【濡れた髪の方がコテを巻く時に形が付きやすい】という変な迷信が出回っているようで、髪を霧吹きなどで湿らせてから髪を巻く人や【ストレートアイロンをかけたときに綺麗にクセが伸びる】という発想でわざとアイロン前に髪を湿らす人がいるようです。
はっきり言いますが
めちゃくちゃ傷むだけで他にメリットは無いのでやめた方が良いです。
美容師の経験が無い人にはあまり知られていないかと思いますが
髪の毛はどんなにバサバサの状態でも水分量が0%になる事はありません。最低でも10%程は残っています。それが髪の毛というもの。
つまり
髪の毛を巻いたりストレートをかけたりするために必要な水分量というのはわざわざ髪の毛を濡らしたりしなくても十分にあるという事です。
むしろ私プロの美容師から言わせれば髪の毛の湿り気具合を気にしているよりも自分自身のヘアアイロンの使い方が下手くそじゃないかどうかを見直した方がよっぽど良い。
一体なぜ
そんな【アホみたいな迷信が一般人の間で一人歩きしてしまったのか?】
詳しく解説していきましょう。
髪が濡れた状態でアイロンを当てた方が良い説とは?

なぜ髪をあえて濡らしてからアイロンを当てるなどというアホな迷信が出回ったのか
私の憶測を申し上げると
きっと美容院でデジタルパーマやコテパーマなどの熱を要する施術を見たとき、もしくは巻き髪を作る際のカールローションの原理からインスピレーションを得て
【プロが実践しているように濡らしてから熱を加えた方が巻き髪もストレートアイロンも上手くいくのではないか?】という発想になったのでしょう。
毛髪科学の理論を詳しく説明すると非常に専門的な話になり途中で飽きてしまうかもしれないので割愛しますが、確かに私たち美容師は薬剤と熱の力を利用して施術するホット系パーマであれば、髪が濡れた状態からロッドを巻いて熱を加えてカールを付けるという工程を使用しますし、ストレート施術に関しても7割程の乾燥状態から伸ばし始めるという理論も確かに存在します。
しかし
髪への負担を考えて【アイロンやカーラーの温度】【熱処理に入る前のケア】【ダメージを極力軽減させるためのアフターケア】など
プロである美容師の場合は全て計算に入れて施術しているのです。
素人が何の知識も無しに風の噂で聞いた変な迷信を信じて中途半端に真似してはいけません。ただいたずらに髪を傷ませてしまうだけです。
つまり、髪が濡れた状態でアイロンを当てた方が良い説の真相とはプロが現場で実践している方法を素人が見様見真似で取り入れた禁断の手法であり、絶対に真似してはいけないやり方なのです。
まとめ
髪をわざと湿らせてからアイロンを当てると巻きが付きやすくなりストレートもしっかり伸びる説は全くの嘘であり、毛髪内部で水蒸気爆発という現象を引き起こすため髪がめちゃくちゃ傷む。
髪の水分量はどんなに乾燥してバサバサだったとしても10%以下になる事はないのでコテを巻いたりストレートアイロンをかけたりするのにわざわざ濡らしたりする必要性は無い。
いかがでしたか?
もしもあなたが今まで髪をちゃんと乾かさずにヘアアイロンを当てている習慣があったとしたら、
どれだけ髪の毛にとって負担のかかる行為をしてきたかが今日の記事を読んでよく理解できたでしょう。
正しい髪の扱い方は変な噂を鵜呑みにせず、担当の美容師などにちゃんとした知識を教えてもらいましょう!
今日のお話はここまでです!またお会いしましょう!
それでは⭐︎